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本物

 2008-12-09
薬草等を用いた伝承の療法で病気を治したり、部族の儀式を司る「メディスンマン」は、今なおネイティブアメリカンの社会において重要な位置を占めている。

その存在は「医者」や「ヒーラー」としての役割を果たすだけではなく、人々の精神的な支えでもあり、ネイティブアメリカンの文化の核を成すものといえる。

ただ残念なことに、最近かれらの哲学や伝承療法が教育や医学等各方面で注目を集めて以来、「自称メディスンマン」のいわゆる「にせもの」が増えていることも事実だ。ネイティブアメリカンの人々の間でもにせもの」の出現を嘆く声が多数あがっている。

以前友人の Chuck Twofingers が「最近ニセモノのメディスンマンが多くて嫌になるよ!皮肉ってこんなのを作ってみたんだけど読んでみてくれない?」とメールで自作の詩を送ってきた。

彼は部族の歴史やしきたりに精通し、ラコタ語を完璧に話す「伝統派」のネイティブアメリカンなので、ニセモノの横行するこの現状が我慢ならないようだ。かれらの哲学や儀式、現代の生活の様子も垣間見ることができる興味深い内容だと思い、Chuck の許可を取って翻訳してみた。




「インチキ メディスンマンの見分け方~”にせもの”の証拠トップ10」 byChuck Twofingers

[証拠その10] あなたに『聖なるレッドロード(*1)』の早道切符を売りつけようとしたこと

[証拠その9] 「ネイティブアメリカンの伝統的なハーブ薬(*2)だ」とあなたに手渡したのは実は I.H.S(インディアン・ヘルス・サービス)から支給されたタイレノール (*3)を砕いて粉末にしたものだったこと。

[証拠その8] 彼が開催するサンダンス(*4)のスポンサーはペプシコーラ社。

[証拠その7] 彼の儀式は全部、映画『ビリー・ジャック(*5)』をそっくりそのまま真似したものだったこと。

[証拠その6] 彼が部族社会にとどまる理由はただひとつ、政府からの支給金が目当てだから。

[証拠その5] カリフォルニアからやって来たリッチなレディ達に、聖なる4つの方角(*6)への捧げ物として、それぞれの方角を表す色(*7)で塗られた最新式の2005年型ピックアップトラック4台が必要だと信じ込ませること。

[証拠その4] ウエブサイトを持っているのはもちろんのこと、そのメールアドレスは www.howmuchyougot.com (www.いくら儲けた?com)。

[証拠その3] メディスンバッグ(*8)に入っているのはポータブルのクレジットカード読み取り機だけ。

[証拠その2] 彼の儀式に参加したいならチケット販売業者に問い合わせをしなくてはならないこと。

[証拠その1] 彼のホワイトバッファロー(*9)はスプレーペンキの臭いがすること。


[*1] 聖なるレッドロード(Sacred Red Road):ネイティブアメリカンにとってレッドロードを歩くことは、人生の真実・友情・個人の霊性・博愛を重んじ創造主の意思の下で生きることを意味する。生涯をかけて追求する自己発見と悟りの道でもある。

[*2] ハーブ薬:主に利用されるのはセージ、スイートグラス、シーダー、タバコ。場合によってラベンダー、ピニョン、タイムも使われる。

[*3] タイレノール:解熱鎮痛薬の商標名

[*4] サンダンス:太陽に感謝して自らの体を祈りとして捧げる、ネイティブアメリカンの最古の儀式のひとつ。サンダンスを踊れるのは、そのための夢やビジョンを見た者に限られる。ダンサーはその期間中、食べ物も水も取らない断食をし、『命の木』の周りで4日5晩踊り明かす。

[*5] 『ビリー・ジャック』:ネイティブアメリカンと白人の混血青年ビリー・ジャックが、ネイティブアメリカンへの差別に人一倍強い正義感で挑んでいく姿を描いた、1970年の映画作品。アメリカ国内でカルトな人気があり、シリーズ化もされている。

[*6] 聖なる4つの方角:東西南北の4方向。東は空気、西は火、南は水、北は大地を表す。

[*7] 4つの方角を表す色:東=黄色、西=黒、南=白、北=赤

[*8] メディスンバッグ:北米大陸に住むネイティブアメリカンが、超自然的なパワーをもたらす様々なアイテム(主にハーブ・ストーン・タバコ・動物の骨・フェザー・とうもろこしの粉・フェティッシュ等)を入れる物。主に動物の皮等で作られます。通常首にかけたりベルトに着けて使用。メディスンバッグは、持ち主の霊性や超自然的なパワーを高めるといわれている。

[*9] ホワイトバッファロー:ラコタ族では神の化身とされ、地球の人々に平和と相互理解の時代の到来を告げるものとされている。1994年ウイスコンシン州で牝のホワイトバッファローが生まれ、『ミラクル』と名付けられた。ホワイトバッファローが生まれる確率は遺伝学上1000万分の1、それを見ることができた人には奇跡が起きるといわれている。(注釈は樫田ミラによる)




「にせものメディスンマン」の出現は、今の日本のスピリチュアルブームの現状とよく似ている。
「ヒーラー」「チャネラー」が、そこら中に跋扈している状態。

以前友人に誘われて、ナンタラとかいう、大掛かりなスピ系イベントに行ったことがある。出展の誘いを毎回もらうということもあって、どんなものか見に行ってみようと思った。しかし、その場の空気の異常さと気持ち悪さに我慢できなくなって、30分程で友達を置いて先に帰ったことがある。

主宰者側の中には「本物」もいたかもしれないが、その大半はそうではないと思う。自称というか、いわゆる「ナンチャッテ○○」の類だと思う。自分で「そう思い込んでいる人、信じ込んでいる人」。中には「○○認定」とかいう肩書きが付いている人もいたが、それはそれで大いに疑問だ。

ネイティブアメリカンの「本物のメディスンマン、メディスンウーマン」は決して表には出てこない。
自分からは絶対に名乗らないし、周りも声高に吹聴しない。むしろひっそりと生きている。「知る人ぞ知る」の存在だ。

日本でもネイティブアメリカンの「スピリチュアルリーダー」を招いて、セレモニーやイベントを主催している人や団体がある。そこにいる人達が「ニセモノ」とは言わない。しかし、本来の在り方としては、大きく道を外れているような気がする。

自分達が先祖から大事に守って、継承してきた「核=魂」を切り売りするようなやり方を、快く思っていない人達、認めていない人達が数多くいることも事実だ。

また、そういった切り売りされたものに嬉々として群がり、彼らの文化や魂を理解した気になっているような外国人を、彼らは冷めた目で見ている。

今の日本のスピリチュアルの現状と重なって仕方ない。


スピリチュアルに関わっている人達は「いい人」が多い。親切で礼儀正しくて、熱心で―。信頼できるというか、「こんな人が友達にいてくれたら」というタイプ。

しかし、能力と人柄は比例しないと思ったほうがいい。無関係と言ってもいいかもしれない。

そこに毒が仕込まれていたとしても、甘くて美味しい部分のほうが多ければ、その毒の味や匂いに気づけない。

スピリチュアルに関しては、「いいとこ取り」はあり得ない。

その本を読んだ時、その人と話した時「何かおかしい」「何か引っかかる」といったものが少しでもあるのなら、つまりそれはそういうことなのだ。自分の潜在意識が、仕込まれた「毒」に反応しているということ。

「この部分は引っかかるけど、ここはいい事を言っているから、この部分だけ取り入れよう」というのは、実は危険なことなのだ。「自分は大丈夫。ちゃんとそれは判断できる」と思っている人ほど、実は危ないと思ったほうがいい。その過信は、既にガードが下がっている証拠だ。

微量でも毒は毒。積もり重なっていけば死に至ることもある。99.9%いい事を言っていたとしても、0.1%の毒が含まれていたとしたら、そういったものだと判断したほうがいい。かつて世間を騒がせた宗教団体等を見れば、それがよく分かる。

「引っかかる部分がたったそれだけなのに、他のいい部分まで全部否定するなんて・・・」と思う人もいるかもしれない。しかし、スピリチュアルに関しては、その厳しさや冷静さ、判断力を持たなければ危険だ。気がついたら魂が食われていた―ということになってからでは遅い。

本来スピリチュアルには「情」は要らない。「それくらい大丈夫」という「蟻の一穴」から崩壊することもある。

目に見えないものだからこそ、惑わされないように。見失わないように。過信しないように。

そういった世界やものに拠り所を求めるある種の「依存」は、心の隙間を一時は埋めてはくれるかもしれない。しかしその分、魂は侵食される。

スピリチュアルの分野に限らず、「本物」は「力、パワー」になる。

惑わせ、依存させ、魂を抜き取り、自立の力を奪うものは「本物」ではない。
カテゴリ :はい論破!スピリチュアルと自己啓発の矛盾とからくり トラックバック(-) コメント(-)
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