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外来の弊害

 2010-02-04
ほぼ100%と言っても過言ではないと思うが、現在日本に蔓延しているスピリチュアルや自己啓発物の大半は、欧米発信のものだ。当然「キリスト教思想」がベースになっている。「天使」や「神」という表現が多く見られるのもその証拠。

「八百万の神」という言葉があるように、日常の至るところ、ささやかかな物、草や木や石ころの中にさえも神は宿る―と考える日本人は、他宗教には寛大だ。「無警戒」と言ってもいい。だが、その「寛大さ」故、ある種の「無関心」とも言えるそのスタンス故、外来の思想に自分達の意識が知らないうちに侵食されていることに気づいていない。

とあるスピ系ワークによれば、「私は○○することで自分と周囲の人を幸せにします!」と宇宙に宣言することで、神や守護天使からサポートが入るらしい。最近では「ウチュー銀行」とやらと契約して、そこに開設した口座に、預金ならぬ「徳」を積み立てることが流行っている。

「宣言」とか「契約」とか、いちいち何かや誰かとそれを交わすことは、本当に必要なことなのだろうか?

学生の頃、専攻が英米文学だったこともあり、「聖書研究」という講義を一年間取っていた。イギリス文学やアメリカ文学は、キリスト教の文化や思想が根底にある。文化や思想には何が反映されるか?それは「宗教」だ。宗教の存在、そこで説かれている倫理観や道徳といったものが大きく影響している。その世界で書かれた物を読み解くには、やはりその根底、礎になっているものを学ぶこと、理解することは必要不可欠であり、避けては通れない。

講義の中で、旧約聖書と新約聖書を読むうちに気づいたことがあった。それは、「キリスト教=契約」だということ。

神が救いの業を成し遂げるために、人間と結ぶ恵みの関係―それがキリスト教なのだ。そもそも、旧約聖書の「旧約」とは、イスラエル民族が、モーセを通じて神と結ばれた関係、「旧い契約」であり、新約聖書の「新約」とは、後にイエス=キリストによって結ばれた「新しい契約」を指している。

「契約の宗教」の上に成り立っている欧米社会は、やはり「契約社会」だ。日常何かにつけてサイン(署名)が必要なことも、結婚の誓いの「死が二人を分かつまで」という言葉や、特に戒律の厳しいカトリックでは、本来許可されない離婚を「婚姻を無効にする」という言い方で表したりすることも、至るところに「契約」のニュアンスが含まれている。キリスト教徒がしばしば口にする「神に誓って」という言葉などは、そのものずばりだ。

意地の悪い言い方をすれば、そういった「契約」と称したある種の「束縛」や「制約」がなければ成り立っていかない社会であるとも言える。自分を律することができない脆弱さの表れでもある。

「あの人には足を向けて寝られない」「お天道様が見ている」「お蔭様で」という言葉があるように、べつに神や宇宙と契約しなくても、それに向かっていちいち宣言しなくても、本来日本人は自分を律すること、自分の見えないところで働いている力―人からの助力や縁といった「巡り合わせ」といったものに感謝できる精神性を持った民族なのだ。

いちいち「神」とか「宇宙」とか「守護天使」とかご大層なものを持ち出さなくても、きちんと自分自身の足で歩いていける人間が育つ土壌がある。キリスト教のように、「おまえらは生まれながらの罪人なんだから神様の言うこと聞けよ」というような罪悪感を植えつけて、そこを突いてコントロールする思想など本来必要ない国なのだ。

どんな宗教であろうと、根底にあるものは「束縛」であり、過度の信仰は「依存」になる。宗教とは、自立の意識や機会を奪うものにもなりかねない「諸刃の剣」でもあるのだ。何も考えず、「なんか良いこと言っているから」とよく考えず、その正体を見極めようともしないでホイホイそれに乗っかるのはとても危険なことなのだ。日本人の「危機管理能力の無さ」というのは、実はこういう部分を言っているのかもしれない。

神や宇宙や天使と契約したつもりが、実はまったく別のものだったりして・・・。冒険と享楽の生活と引き換えに、悪魔に魂を売る「契約」をした男の話。あれは確かゲーテの「ファウスト」だったかな。ウチュー銀行に口座開設したつもりが、アクマ銀行だったりしてね。神や守護天使のサポートが、似ても似つかない者からのサポートだったりとか。

ダークな存在ほど、明るく美しいものの引き合いに出してくる。上辺だけの言葉の響きや「ご利益」に騙されたり惑わされたりしないよう、くれぐれも気をつけることだ。

それにしても、日本人の神性を腐らせ、引っこ抜くような欧米発信の怪しげなスピや自己啓発の諸々、どうも気に入らない。「善」や「光」を装ったダークサイドの「家畜化計画」に巻き込まれないよう、ささやかではあるが警鐘を鳴らす。

カテゴリ :はい論破!スピリチュアルと自己啓発の矛盾とからくり トラックバック(-) コメント(-)
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